※情報確認日:2026年10月21日。発生状況は厚生労働省が10月16日に公表した第41週(10月5日~11日)の資料に基づきます。
「発熱したら、そのまま来院してよいですか」「予約は必要ですか」。インフルエンザに関心が集まる時期には、こうした問い合わせに備えておきたいものです。
クリニックの情報発信では、流行の数字を伝えることに加え、患者さんが次に何をすればよいかを示すことが大切です。ニュースを見て自院のホームページを訪れた方が、連絡先や受診方法を探し直さずに済む案内を整えましょう。
本記事では、最新の公表データを確認したうえで、院長・事務長・ホームページ担当者が見直したい受診案内を整理します。後半の掲載項目や運用例は、Alplanによる実務上の提案です。
1.今の発生状況は?公表日と対象期間をセットで確認
厚生労働省の10月16日公表資料によると、2026年第41週の全国のインフルエンザ定点当たり報告数は12.81でした。前週の11.35から増加しています。定点医療機関からの報告数は47,746件です。[1]
| 確認項目 | 公表資料の内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年10月16日 |
| 対象期間 | 第41週:10月5日~11日 |
| 全国の定点当たり報告数 | 12.81 |
| 前週の定点当たり報告数 | 11.35 |
| 定点医療機関からの報告数 | 47,746件 |
ここで注意したいのは、47,746件を「国内の感染者総数」と表現しないことです。これは定点医療機関から報告された数であり、全国のすべての感染者を数えたものではありません。
また、全国の数値だけで、自院の周辺でも同じ状況だと判断することはできません。地域向けの記事にする場合は、都道府県などが公表する情報も確認し、全国と地域の数字を区別して掲載します。
「本日、12.81人」といった書き方も避けましょう。週単位の集計には公表までの時間差があります。「10月16日公表・10月5日~11日分」と添えることで、数字の意味が伝わります。今回の資料では、次の第42週分は10月23日公表予定とされています。公開がその日以降になる場合は、最新資料への更新が必要です。[1]
2.流行情報を読んだ患者さんが知りたいこと
流行状況を知らせるページには、受診方法を一緒に掲載しましょう。患者さんは病名を知りたいだけでなく、「このクリニックに相談できるか」「どう連絡すればよいか」を確認しています。
まず、受付でよく受ける質問を集めると、必要な情報を絞りやすくなります。電話の内容を個人情報が残らない形で分類し、次の項目を確認します。
- 発熱や咳がある場合の連絡方法
- 予約の要否と、予約できない場合の相談先
- 診療対象の年齢や、対応できる診療内容
- 来院する時間、入口、到着後の待機方法
- 診療時間外の案内
これらは実際の診療体制に合わせて決める項目です。記事を作る担当者が、一般的な発熱外来の案内をそのまま当てはめないようにします。
例えば、発熱がある方に事前の電話連絡をお願いする医院なら、電話番号と受付時間を近くに置きます。ウェブ予約を使う医院なら、予約画面でどの項目を選ぶのかまで説明すると、患者さんが迷いにくくなります。
3.ホームページに掲載したい受診案内のチェック表
案内文を公開する前に、医師と受付担当者が同じ内容を確認しましょう。ホームページでは予約不要と書かれているのに、電話では事前予約をお願いしている、といった食い違いを防ぐためです。
| 項目 | 掲載前に確認すること |
|---|---|
| 相談方法 | 電話・ウェブ予約など、実際に使える窓口を示したか |
| 対応時間 | 診療時間と、電話や予約の受付時間を区別したか |
| 対象となる方 | 年齢など、診療上の条件を正確に示したか |
| 来院方法 | 入口・到着時の連絡・待機場所を確認したか |
| 持ち物 | 自院で必要なものを具体的に示したか |
| 検査の案内 | 実施の要否を一律に約束する表現になっていないか |
| 時間外 | 診療時間外に確認できる公的な案内先を示したか |
| 更新管理 | 更新日と、修正する担当者を決めたか |
持ち物は、受付で普段案内している内容と照合します。必要なものが多い場合は、本文の途中に散らすより、来院前の確認欄にまとめると見つけやすくなります。
待機方法も具体的にします。「別室で待機」と記載するなら、その場所を患者さんが自分で探すのか、到着後に職員が案内するのかまで確認が必要です。駐車場がない医院で車内待機を前提にするなど、実態に合わない説明を掲載しないようにしましょう。
4.受診時期や検査について、一律の案内をしない
検査に関する質問が多くても、「発熱してから必ず○時間待ってください」と、すべての患者さんに同じ待機時間を求める案内は避けたいところです。患者さんが体調の悪化より時間の条件を優先してしまうおそれがあります。
厚生労働省のQ&Aは、発熱が長引く場合や、息苦しさ、意識の異変などがある場合に、早めの受診を促しています。また、治療薬の使用は医師の判断に基づくものとしています。[2]
クリニックの案内では、検査や治療の必要性は診察を踏まえて判断することを伝え、具体的な受診時期に迷う方が相談できる窓口を示します。強い症状がある場合に、ウェブ予約の空きや問い合わせへの返信を待ち続けるような案内にしないことも大切です。
「来院すれば必ず検査」「検査が陰性なら安心」といった断定も避け、掲載する医学的な説明は医師に確認します。記事の役割は、個々の患者さんの状態を画面上で判断することではなく、適切な相談や受診につながる情報を届けることです。
5.案内文は「連絡先」と「来院前の行動」を近くに置く
実際のページでは、長い説明を読み終わらないと連絡先が出てこない構成を見直してみましょう。スマートフォンの最初の画面付近に、発熱などの症状がある方への案内と、連絡・予約の入口を配置する方法があります。
例えば、事前の電話連絡をお願いしている医院なら、案内文は次のような構成にできます。
発熱・咳などの症状がある方へ
来院前に、当院の受付時間内にお電話でご相談ください。来院方法をご案内します。お電話の際は、症状と、いつから続いているかをお伝えください。
これは構成例です。公開する際は、電話番号、受付時間、休診日、対象年齢、時間外の案内を実際の運用に合わせて加え、医師と受付担当者が確認します。事前連絡を求めない医院は、その診療体制に沿った文面に変更します。
ページの下には、よくある質問を少数に絞って掲載すると便利です。「予約が取れないとき」「家族にも症状があるとき」「受診後の問い合わせ」など、自院で多い質問から始めましょう。回答を増やしすぎるより、必要な窓口がすぐ見つかる状態を優先します。
6.HP・X・院内掲示で案内をそろえる
ホームページを更新しても、Xの固定投稿や院内掲示に古い案内が残っていれば、患者さんはどれを見ればよいか迷います。
運用上は、詳しい受診案内を載せるページを一つ決め、Xからそのページへ誘導する方法が考えられます。Xでは、流行情報の対象期間、受診前に確認してほしいポイント、案内ページへのリンクを簡潔に示します。
毎週変わる数字を画像だけに入れると、画像の差し替え忘れが起きることもあります。数字を掲載する場所を絞り、更新日と出典を添えると管理しやすくなります。過去の投稿が検索で見つかることも想定し、投稿時にも対象期間を明記しましょう。
また、一般公開の返信欄で症状や病歴の詳しい書き込みを求める運用は避け、個別相談は自院が用意する窓口に案内します。SNS担当者だけで診療上の判断をせず、医師へ確認する範囲を事前に決めておくことが必要です。
7.更新後は、クリックと受付の質問を確認する
受診案内の改善では、閲覧数だけで効果を判断しないようにします。ページが見られていても、電話番号や予約ボタンが見つからなければ、必要な行動につながりません。
確認する項目は、案内ページの閲覧数、予約・電話ボタンのクリック数、受付で繰り返される質問などです。ただし、電話ボタンのクリックが実際の通話や受診を意味するわけではありません。各指標の意味を分けて見ます。
公開後は「入口が分からない」「どの予約項目か迷った」といった問い合わせを手がかりに、案内を直していきましょう。問い合わせ件数は流行状況や診療日数にも左右されるため、増減だけで施策の成果とは言い切れません。
更新担当者と確認日を決めておくことも重要です。流行の数字に加え、予約枠や受付方法を変更したときにも案内を見直せる体制を整えます。
まとめ:流行情報を、迷わず相談できる案内へ
インフルエンザの発生状況を伝える際は、公表日・対象期間・数字の意味をそろえて掲載しましょう。そのうえで、自院の相談窓口、予約方法、来院時の行動を具体的に示すことが大切です。
まずは現在のホームページをスマートフォンで開き、発熱した患者さんの立場で確認してみてください。連絡先をすぐ見つけられるか、案内と受付の運用が一致しているか。この二つを確認することから、受診案内の見直しを始められます。
クリニックの情報発信・受診案内のご相談
Alplanでは、クリニックのホームページや情報発信に関するご相談を承っています。受診案内の整理や、HP・SNSでの情報発信については、下記フォームからお問い合わせください。
代表・幸城裕樹の登壇動画(YouTube/メディカルトリビューン)
参考資料
[1] 厚生労働省「インフルエンザの発生状況」(2026年10月16日公表、第41週分)
https://www.mhlw.go.jp/content/001759780.pdf
[2] 厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(2026年9月30日版、Q15・Q16)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2026.html
最新の公表資料一覧:厚生労働省「2026/2027シーズンのインフルエンザ報道発表資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou_00025.html
※本記事はクリニックの情報発信・案内運用を扱うもので、個別の診断・治療を判断するものではありません。患者向けに転用する案内文は、自院の診療体制と医師の確認に基づいて調整してください。
