帝国データバンクの調査によると、2025年の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は66件で、前年の64件を上回り過去最多を更新しました。[1]
件数の多さに目が向きがちですが、経営の備えを考えるうえで大切なのは「なぜ倒産に至ったのか」です。この記事では、2025年の倒産の内訳と原因を紹介し、クリニック経営で注意したいリスクを整理します。
1.2025年の医療機関の倒産の内訳
2025年の医療機関の倒産66件を業態別に見ると、次のとおりです。[1]
- 病院:13件
- 診療所:28件
- 歯科医院:25件
負債総額は242億1900万円でした。件数で見ると、診療所と歯科医院が全体の大半を占めています。
2.倒産の原因は「収入の減少」が7割超
倒産の主な原因を見ると、「収入の減少(販売不振)」が48件で、全体の72.7%を占めています。次いで「経営者の病気、死亡」が5件、「設備投資の失敗」と「経営計画の失敗」がそれぞれ3件でした。[1]
| 倒産の主な原因 | 件数 |
|---|---|
| 収入の減少(販売不振) | 48件 |
| 経営者の病気、死亡 | 5件 |
| 設備投資の失敗 | 3件 |
| 経営計画の失敗 | 3件 |
| その他 | 7件 |
調査では、物価高や賃上げに伴う費用の増加も、経営悪化の背景として挙げられています。[1] 収入が伸びない中で費用が増え、資金繰りが続かなくなる構図が読み取れます。
3.クリニックが注意したい3つのリスク
患者数の減少に気づくのが遅れる
収入の減少は、ある月に急に起こるとは限りません。患者数や診療単価が少しずつ下がっていく場合、月々の変化が小さいために気づきにくくなります。前年同月との比較など、変化を早く捉える仕組みが必要です。
院長に何かあったときの備えがない
「経営者の病気、死亡」は件数としては多くありませんが、院長一人で診療を担う診療所では、院長の不在がそのまま診療の停止につながります。代診の確保や、緊急時の連絡・判断の流れを考えておくことが大切です。
設備投資の判断が収入の見通しと合っていない
医療機器の導入や改装などの設備投資は、借入の返済やリース料として長く費用が続きます。投資によって患者数や診療内容がどう変わるのか、見通しを立てたうえで判断しましょう。
4.経営の変化を早く捉えるために
倒産の多くは、ある日突然起きるものではありません。日頃から次の点を確認しておくことで、早めに手を打つことができます。
- 患者数、診療単価、売上の月次推移
- 人件費や材料費など、主な費用の推移
- 手元資金が何か月分の支出をまかなえるか
- 借入の返済予定と、今後の設備更新の予定
原因を知ることが、経営の備えになる
医療機関の倒産件数が増えている背景には、収入の伸び悩みと費用の増加があります。自院の数字を定期的に確認し、変化に早く気づく仕組みを持つことが、経営を守ることにつながります。
Alplanでは、クリニックの経営改善や集患の見直しに関するご相談を受け付けています。患者数や収支の変化が気になっている方は、現状の整理からお手伝いします。お気軽にご相談ください。
参考情報
確認日:2026年10月12日。件数は事業者単位の集計です。最新の情報は公表元でご確認ください。
[1] 帝国データバンク「医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2025年)」(2026年1月)
https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260123-iryoukikan2025/
