2025年11月に公表された「第25回医療経済実態調査」によると、2024年度の一般診療所の損益率は、医療法人で4.8%(前年度8.3%)、個人で28.8%(前年度32.0%)となり、いずれも前年度から低下しました。[1][2]
一般病院の多くが赤字となる中で、診療所は黒字を確保しているものの、収益は悪化傾向にあります。この記事では、調査結果のポイントを紹介し、院長が経営悪化のサインを早く見つけるために毎月確認したい指標を整理します。
1.医療経済実態調査とは
医療経済実態調査は、病院や診療所などの経営状況を把握するために、厚生労働省が中央社会保険医療協議会(中医協)を通じて実施している調査です。診療報酬改定の議論の基礎資料として使われています。
2.2024年度の一般診療所の損益率
一般診療所の損益率(1施設当たりの平均)は次のとおりです。[1][2]
| 開設者 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 医療法人 | 8.3% | 4.8% |
| 個人 | 32.0% | 28.8% |
医療法人の無床診療所に限ると、損益率は9.3%から5.4%に低下しています。[2]
なお、個人立の診療所の損益には、院長自身の報酬に相当する部分が費用として含まれていないため、医療法人と比べて損益率が高く表れます。両者の数字をそのまま比べないよう注意が必要です。
3.なぜ収益が悪化しているのか
調査結果をめぐっては、物価の上昇や人件費の増加が、診療所の経営を圧迫していることが指摘されています。収入がある程度確保されていても、費用の伸びがそれを上回れば、利益は減っていきます。
自院の収益がどう変化しているかを把握するには、全国の平均値だけでなく、自院の数字を継続的に確認することが欠かせません。
4.院長が毎月確認したい5つの指標
経営悪化のサインを早く見つけるために、毎月次の5つの指標を確認することをおすすめします。
① 患者数(新患・再診)
患者数の変化は、収入の変化に直結します。新患と再診を分けて見ることで、集患の課題か、通院継続の課題かを判断しやすくなります。
② 患者1人当たりの診療単価
患者数が変わらなくても、診療内容の変化によって単価が変わることがあります。
③ 人件費率
売上に占める人件費の割合です。賃上げや採用によって変化するため、推移を確認します。
④ 主な費用の推移
材料費、賃料、リース料、システム利用料、光熱費など、主な費用の変化を確認します。
⑤ 手元資金の残高
損益が黒字でも、資金が不足することがあります。手元資金が何か月分の支出をまかなえるかを確認しましょう。
いずれの指標も、前月との比較だけでなく、前年同月や自院の計画と比べることで、季節要因に左右されずに変化を捉えやすくなります。指標の適正な水準は診療科や地域、診療内容によって異なるため、一律の基準ではなく、自院の推移で判断することが大切です。
全国の傾向を、自院の確認につなげる
医療経済実態調査は、診療所全体の経営が厳しさを増していることを示しています。全国の傾向を知ったうえで、自院の数字を毎月確認する習慣をつけることが、経営悪化を早く察知することにつながります。
Alplanでは、クリニックの経営改善に関するご相談を受け付けています。毎月確認する指標の整理や、収支の見直しを進めたい方は、お気軽にご相談ください。
参考情報
確認日:2026年10月12日。数値は公表時点のものです。詳細は厚生労働省の公表資料でご確認ください。
[1] 厚生労働省「第25回医療経済実態調査の結果に対する見解」(中医協資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001603473.pdf
[2] 日本医事新報社「24年度の一般病院の損益率は▲7.3%、一般診療所は損益率が悪化─医療経済実態調査」
https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_27662
