「クリニックのホームページはあるが、診療案内には診療科名しか書いていない」「記事を更新しているのに、どの診療を受けられる医院なのか伝わっていない」。集患のためにホームページを見直すとき、確認したいのが診療案内ページです。
初めて訪れる患者さんが知りたいのは、自分の相談に対応しているか、どのように受診すればよいかということです。アクセスを集める取り組みとあわせて、その判断に必要な情報を整えましょう。
この記事では、クリニックの院長・Web担当者向けに、症状や相談内容から診療案内、予約までをつなぐページの作り方を紹介します。以下の構成や手順はAlplanからの実務上の提案であり、検索順位や患者数の増加を保証するものではありません。
集患用の記事と診療案内ページの役割を分ける
記事と診療案内ページには、異なる役割を持たせると整理しやすくなります。
| ページ | 主に答える疑問 | 次に案内する内容 |
|---|---|---|
| 解説記事 | そのテーマについて何を知ればよいか | 関連する診療案内や公的な情報源 |
| 診療案内 | この医院では何を相談できるか | 実際の対応範囲・受診方法 |
| 初診案内 | 初めて受診するときはどうするか | 予約方法・持ち物・来院方法 |
たとえば、院内でよく聞かれる質問を記事で説明しても、自院で対応する診療内容や受診方法が分からなければ、患者さんは改めて情報を探すことになります。
記事の末尾に予約ボタンを付けるだけでなく、「自院で受け付けている相談」を説明するページへ、文脈に合うリンクを設けましょう。
集患全体の課題を整理したい方は、クリニックの集患が伸びないときに見直す5つのポイントもご覧ください。本記事では、その中でも診療案内の内容づくりに絞って解説します。
1.患者さんから実際に聞かれる疑問を集める
ページのテーマを決める前に、院長と受付スタッフで「受診前によく聞かれること」を整理します。検索キーワードの候補だけで内容を決めず、院内で対応している相談と照らし合わせることが大切です。
集める疑問の例は、次のとおりです。
- この症状や相談は、自院で受け付けているか
- 対象となる年齢や、受付上の条件はあるか
- 初診でもWeb予約できるか
- 検査を希望すれば当日に受けられるか
- 紹介状や事前の電話連絡は必要か
- 予約枠がないときは、どのように確認すればよいか
実際の回答は医療機関によって異なります。「当日検査できる」「予約なしでも受診できる」などの案内を、運用確認なしに書かないようにしてください。
質問を集める際は、患者さんの氏名や個別の診療内容を原稿へ転記せず、一般的な疑問に整理します。個人が特定される相談例を、そのまま公開する必要はありません。
2.最初に作るページは、対応体制が整っている診療から選ぶ
検索されそうなテーマを増やしても、自院の診療体制と合わなければ、予約後の行き違いにつながります。最初は次の3点で候補を選びましょう。
実際に対応している相談か
診療科名だけで判断せず、どこまで対応し、どのような場合に他院へ紹介するかを院長に確認します。掲載内容と実際の診療範囲を一致させることが前提です。
受診前の問い合わせが多いか
受付への問い合わせが多い内容は、説明が不足している可能性があります。同じ質問を何度も受けているなら、ページ上で案内する候補になります。
案内した後に受け入れられるか
担当医の診療日、予約枠、必要な検査や設備などを確認します。情報発信だけを先行させず、案内した内容に現場が対応できる状態かを見てください。
この3点を並べ、まず1ページを整えるところから始めます。記事やページをまとめて大量に作ることを、最初の目標にする必要はありません。
3.診療案内ページには、受診判断に必要な情報を並べる
以下は制作時のたたき台です。すべての診療科に共通する必須項目という意味ではなく、自院の診療と運用に合わせて調整してください。
| 構成 | 書く内容 | 院内での確認先 |
|---|---|---|
| ページ冒頭 | 何について相談できるか | 院長・担当医 |
| 相談内容の例 | 患者さんが使う言葉による具体例 | 担当医 |
| 自院での対応 | 診察・検査など、実際に行う内容と条件 | 担当医・関連部署 |
| 対応範囲の補足 | 対応できない内容、紹介する場合など | 担当医 |
| 受診前の準備 | 予約、持ち物、事前連絡の要否 | 受付・担当医 |
| 受診方法 | Web予約・電話などの窓口と受付時間 | 受付 |
| 更新情報 | 内容確認日、更新担当 | 院内担当者 |
専門用語を削ることだけを目指さず、必要な言葉には説明を添えます。短い説明で誤解が生じる内容は、医師の確認を受けてください。
また、症状名を挙げる場合も、読者が自分で診断できるような断定は避けます。受診の緊急性に触れる必要がある内容は、担当医が確認した案内を掲載し、通常のWeb予約へ一律に誘導しないようにしましょう。
4.似たページは、読む目的が違うときに分ける
「地域名+診療科」「症状名+クリニック」といった組み合わせごとに、ほぼ同じ文章のページを増やす運用は見直しましょう。
分けるかどうかは、キーワードの違いよりも、読者が知りたい内容と自院の説明事項が異なるかで考えます。
たとえば、一般的な初診案内と、特定の検査の事前準備では、必要な情報が異なります。一方、説明内容がほぼ同じであれば、一つの診療案内にまとめ、見出しで整理する方法を検討できます。
Googleも、検索エンジン向けの量産より、訪問者の疑問に答える有用な内容を重視する考え方を示しています。[1] ページを追加するたびに、「このページだけで解決する具体的な疑問は何か」を確認してください。
5.記事から診療案内、診療案内から受診方法へつなぐ
内部リンクは、読んでいる内容に関連する案内として設けます。
たとえば、記事の中で受診前の確認事項を説明している箇所に、「当院での対応範囲と受診方法は、○○の診療案内をご確認ください」と添えます。実際の対応範囲と一致していることを確認したうえでリンクしてください。
診療案内には、受診方法が分かるリンクを設けます。複数の予約窓口がある場合は、「初診」「再診」「特定の検査」などの対象を明示し、患者さんが選び分けられるようにします。
スマートフォンでは、次の流れを実際に操作して確かめましょう。
- 関連記事から該当する診療案内を開く
- 対応内容と条件を読む
- 初診案内や予約方法を確認する
- 適切な予約窓口へ進む
予約ボタンを押した回数と、予約が完了した件数は別です。窓口が開くだけで完了扱いにしないよう、計測の定義もそろえておきます。
6.医師による内容確認と、更新の担当を決める
医療に関する説明を含むページは、制作会社だけで公開判断を完結させず、診療内容を把握する医師に確認してもらいます。
確認したいのは、医学的な説明、実際の対応範囲、検査や治療の条件、患者さんが誤解しやすい表現です。医師の確認を受けた場合も、実際に確認した人・範囲・日付に即して記録し、行っていない監修を表示しないでください。
公開前には、厚生労働省が案内する医療広告の資料も参照します。[2] 「集患用のページだから」と強い表現を足すのではなく、患者さんが診療内容を正確に理解できる説明を整えましょう。
さらに、診療時間、担当医、予約条件が変わったときに、誰がページを更新するかを決めます。作成時の情報が正しくても、運用変更が反映されなければ案内として使いにくくなります。
7.公開後は、検索・閲覧・予約を分けて確認する
効果を確認するときは、把握できる指標と、把握できないことを分けます。
- 検索:どの検索語で表示・クリックされたか
- 閲覧:診療案内ページがどの程度見られたか
- 行動:予約窓口への移動があったか
- 受付:予約完了や来院として確認できた件数
それぞれ計測環境を確認し、取得できない数値は推測で埋めないでください。検索からのクリックが増えても、そのまま新規患者が増えたとは判断できません。
比較する期間も、診療日数や季節、予約枠の変化を合わせて見ます。改善した日と変更内容を記録しておくと、次の見直しに使えます。
まずは1ページの「相談内容・対応範囲・受診方法」を整える
クリニックの集患に向けた診療案内づくりは、患者さんの疑問と自院の診療内容を結び付ける作業です。まずは問い合わせの多い診療を一つ選び、「何を相談できるか」「どこまで対応するか」「どう受診するか」を確認しましょう。
Alplanでは、クリニックのホームページ制作・集患支援を行っています。診療案内の構成整理、記事からの導線、公開後の改善まで、現在のサイトと院内の運用に合わせて支援内容を検討します。
代表・幸城裕樹の登壇動画(YouTube/メディカルトリビューン)
参考情報
[1] Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content?hl=ja
[2] 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
情報確認日:2026年10月18日。個別の診療内容は各医療機関の医師・担当部署が確認してください。
