情報確認日:2026年10月30日
「Webで予約しましたが、取れていますか」「希望の診療が見つかりません」「今日受診したいのですが、空きがありません」。Web予約を導入しても、受付に同じような電話が届いていないでしょうか。
予約の操作をオンラインにしても、患者さんが途中で迷う点が残っていれば、確認の電話は必要になります。まず見直したいのは、システムの機能だけでなく、予約前・入力中・送信後の案内です。
本記事では、予約できる診療、予約確定のタイミング、変更・キャンセル、当日受診、操作に困ったときの五つを点検します。電話を減らす効果を保証するものではなく、患者さんが必要な情報を見つけられる案内を作るための手順を紹介します。
1.Web予約の発表に見る「対象」と「確定」の伝え方
国立病院機構東京医療センターは2026年10月22日、同年11月から全診療科でWeb初診予約を開始すると案内しました。対象は紹介状を持ち、医師の指定がない患者さんで、医師指定がある場合は電話予約を案内しています。[1]
また、希望日時の登録後、原則翌営業日に予約日時の確定メールが届く流れが示されています。Webで入力できることと、その場で予約が確定することは、必ずしも同じではありません。
同センターは病院であり、その受付条件をクリニックがそのまま採用する必要はありません。発表から参考にできるのは、利用できる人と、申込みから確定までの流れを明示する考え方です。この発表は、電話件数が減ったことを示す効果検証ではありません。
以下の確認表や文章例はAlplanによる実務提案です。自院の予約システム、診療内容、受付体制に合わせて検討してください。
2.点検①「何を予約できるか」をボタンの前に伝える
HPに「Web予約はこちら」というボタンがあっても、初診・再診、通常診療・検査・予防接種などの区別が分からなければ、患者さんは入力の途中で迷います。対象外だった場合に、どこへ連絡すればよいかも必要です。
院内では、予約の種類ごとに次の内容を整理します。
| 確認する項目 | 案内する内容の例 |
|---|---|
| 初診・再診 | 初めての方と通院中の方で入口が違うか |
| 診療・検査等 | Webで選べる診療、事前確認が必要な検査や処置 |
| 年齢等の条件 | 自院で設定している対象条件と確認方法 |
| 医師の指定 | 指定の可否、希望するときの連絡方法 |
| 対象外の場合 | 電話等の窓口と受付時間 |
重要な条件は、予約画面に移動した後だけでなく、HPのボタン付近にも短く示します。「すべてWebで予約可能」と受け取られる表現が、実際の受付条件と合っているかを確認しましょう。
症状によって事前の相談が必要な場合は、医師が確認した案内を使います。患者さんが画面だけで緊急性や受診の可否を判断しなければならない構成にはせず、予約操作と医療上の判断を分けます。
3.点検②「送信完了」と「予約確定」を区別する
確認電話の内容を聞くと、「送信できたか分からない」と「希望日時で予約できたか分からない」が混ざっていることがあります。医院側では、その二つを分けて案内します。
予約枠を選んだ時点で確定する仕組みなのか、医院が内容を確認してから日時を決める仕組みなのかを、システム提供元と確認します。完了画面、自動返信、HPで同じ説明になっていることが大切です。
| 予約の状態 | 患者さんに伝えること |
|---|---|
| 入力・申込みの受付 | 情報を受け取った状態か、日時も確定しているか |
| 医院で確認中 | 次に誰から、どの方法で連絡するか |
| 予約確定 | 確定した日時と、来院時の案内 |
| 通知が届かない | 確認する場所と、問い合わせる窓口 |
例えば申込み型の場合は、「この画面では予約は確定していません。医院からの確定連絡をお待ちください」といった構成が考えられます。これは文例であり、即時確定型のシステムには合いません。
回答時期を記載する場合も、「すぐに連絡します」と曖昧にせず、休診日を含めて実際に対応できる範囲を示します。電話で連絡する場合は着信に気づけなかったとき、メールの場合は通知が届かないときの確認手順も用意します。
また、希望日時を送った後に電話でも申し込むと、二重予約になる可能性があります。「重ねて予約してください」と案内する前に、医院が申込みを確認できる窓口と手順を決めましょう。
4.点検③「変更・キャンセル」の入口を分かりやすくする
予約時の操作は分かっても、日時を変える方法が見つからなければ、患者さんは電話をかけることになります。予約完了通知から変更できるのか、専用画面があるのか、医院への連絡が必要なのかを整理します。
ここで確認したいのは、操作方法だけではありません。Webで変更できる期限、期限を過ぎた場合の連絡先、予約の種類による違いも確認します。変更を先に取り消し扱いにする必要がある場合など、手順を誤ると予約がなくなる運用には、特に分かりやすい説明が必要です。
患者さんへの通知には、「変更・キャンセルはこちら」と入口を示し、アクセスできない場合の問い合わせ方法を添えます。電話連絡が必要な場合は、受付時間も一緒に記載します。
キャンセル料等を設定している医院では、予約画面、HP、事前説明の条件が一致しているかを確認します。料金や適用条件は、システムの初期設定や他院の記載をそのまま使わず、自院の方針と必要な専門家の確認を踏まえて整えます。
予約を変更した後に、古い日時の通知が残ることがないかも確認しましょう。システム上の制約で複数の通知が届く場合は、どの情報を見ればよいかを説明できるようにします。
5.点検④「当日の空きがない」ときの案内を用意する
Webの予約枠が埋まっていることと、その日の受診相談を受け付けていないことは、医院の運用によって意味が異なります。「空きがないから受診できない」と患者さんが推測しなくて済むよう、当日相談の方法を案内します。
当日枠を別に設けているのか、電話確認が必要なのか、予約なしでの受付を行っているのかを院内で整理します。電話すれば必ず受診できると受け取られる表現も避け、自院で確認した内容に合わせます。
例えば、「Web上で当日の空きがない場合のご相談は、受付時間内にお電話ください。受診方法を確認してご案内します」といった構成が考えられます。これも医院の実態に合う場合の例です。
急な症状や強い症状に関する案内は、医師の確認のもとに別途整えます。返信を待つ申込みフォームを、緊急相談の窓口と誤解させないことが大切です。受付時間外の連絡方法についても、対応できないフォームや留守番電話へ誘導するだけになっていないか確認しましょう。
予約変更、当日受診、緊急の相談を一つの連絡先にまとめる場合も、受付後に誰へつなぐかは院内で分けておきます。患者さんにとって入口が簡単でも、職員の判断が曖昧なままでは負担が残ります。
6.点検⑤「操作できない」ときの別の方法を残す
Web予約が使いにくい理由は、操作への不慣れだけとは限りません。通知メールが届かない、確認画面の文字が読みにくい、入力した内容が消えるなど、画面や仕組みに原因がある場合も考えられます。
問い合わせを受けたら、どの画面で止まったか、何をしようとしたかを、必要な範囲で確認します。ログイン用のパスワードや認証コードをスタッフに伝えてもらう案内にはしないようにします。
システム提供元への問い合わせと、医院での予約確認は役割が異なります。操作の不具合を調べる連絡先、予約の有無を確認する連絡先、電話等で予約できる条件を整理し、患者さんを複数の窓口で行き来させないようにしましょう。
代替手段を用意したうえで、よくある質問を一つずつ改善します。個別の患者情報を使わずに操作を試し、スマートフォンで予約ボタンや注意事項が見つかるか、表示の途中で重要な条件が隠れないかを確認する方法もあります。
7.電話の件数だけでなく、内容の変化を見る
見直しの効果を確認するには、まず問い合わせを分類します。「予約方法」「確定確認」「変更・キャンセル」「当日受診」「操作・通知」など、受付が無理なく記録できる区分にします。
個人情報や詳しい症状を書き込まなくても、案内を直すための傾向を確認できることがあります。記録する目的と、必要な項目を先に決めましょう。
| 確認する数字・内容 | 見直す際の視点 |
|---|---|
| 問い合わせ件数 | 診療日数、患者数、休診等の条件が違わないか |
| 電話の内容 | 案内を直した項目への確認がどう変わったか |
| 受付の作業 | 電話がメールや手作業の確認に置き換わっていないか |
| 予約の状況 | 二重予約、連絡漏れ、日時の行き違いが起きていないか |
最初は一つの質問を選び、HP、予約画面、自動返信、受付の説明をそろえてみましょう。変更日と確認担当者を記録し、一定期間後に振り返ります。期間や目標値は自院の件数に合わせて設定し、短期間の増減だけで効果を断定しないようにします。
目指すのは、必要な相談まで減らすことではありません。患者さんが自分で確認できる情報を整え、医院への相談が必要なときには適切につながる状態を作ることです。Web予約を導入した後こそ、画面と院内の対応を一つの流れとして点検してみてください。
クリニックのHP・予約業務の整理に関するご相談
Alplanへのご相談は、下記フォームからお問い合わせください。予約案内ページ、自動返信と受付説明の照合、問い合わせの整理など、現在の課題をご記入いただけます。予約システムの仕様や不具合対応は提供元、医療上の案内は院内の医師等との確認が必要です。
代表・幸城裕樹の登壇動画(YouTube/メディカルトリビューン)
参考資料
[1] 国立病院機構東京医療センター「WEB初診予約開始のお知らせ」。2026年10月22日公表、2026年10月30日確認。11月開始の案内であり、電話件数削減の実績資料ではありません。
